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2009年2月21日土曜日

無視され続けてきた引っ込み思案の問題

アメリカ・メリーランド大学に、引っ込み思案について数多くの研究成果を発表している「子どもと家族関係研究所」(Laboratory for the Study of Child and Family Relationships)があります。同研究所の論文はネット上で無料公開されており、引っ込み思案児について勉強するのに参考になります。

今回は、それらのうち次の論文を読んだ所感を書いてみたいと思います。

Rubin, H.K., & Coplan, J.R. (2007). Paying attention to and not neglecting social withdrawal and social isolation. Merrill-Palmer Quarterly, 50(4), 506-534.

レビュー論文というのでしょうか、引っ込み思案について、英語圏における先行研究をまとめたものです。

メリーラード大学のレビュー論文はこれまでにもいくつか読んだことがあるのですが、今回の論文は、引っ込み思案研究の歴史が詳細にまとめられている点が特徴です。

引っ込み思案は、英語圏においても、研究者、理論家、親、教師の間では無視されてきた歴史があるのだそうです。引っ込み思案児は目立たない等々の理由です。

欧米では、引っ込み思案は学校不適応という点でより大きな問題ではないかと思うのですが、それでもこういう状況だったのですから、日本ではどうなのだろうと考えてしまいます。

この論文は、研究の歴史の他にも、引っ込み思案は将来どういう結果をもたらすのか、引っ込み思案の概念、原因等について簡潔にまとめられています。これは、私のような一般人にとって、引っ込み思案について勉強するための最初の取り掛かりとして重宝します。英語なので敷居が高いですが、それほど高度な英文で書かれているわけでもありません。この手の文献は日本にもなかなかないと思うので、引っ込み思案について少し詳しく知りたいという方にはおすすめです。