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2010年1月29日金曜日

ニートには、高校時代友達がいなかった人がわりと多い

ニート―フリーターでもなく失業者でもなく (幻冬舎文庫)ニートには、高校在学中に仲の良い友達が「多くいた」割合は失業者に比べて低く、特に「いなかった」割合が3倍近く多い--

玄田有史、曲沼美恵『ニート―フリーターでもなく失業者でもなく』幻冬舎、2004年、46-47ページに、書かれています。このもとの資料は、厚生労働省がUFJ総合研究所に委託して行った2003年の調査「若年者のキャリア支援に係る調査研究」です。つまり孫引きになります。すみません。

[高校時代の仲のよい友達]

多くいた………失業者:25.3%、ニート:16.2%
少しいた………失業者:67.1%、ニート:64.7%
いなかった……失業者: 7.6%、ニート:19.2%


※ 高校に通っていない場合には、中学時代の状況

ただし、これは、高校時代に友達がいないとニートになるということを意味するわけではありません。また、失業者、ニート以外の若年者が高校時代にどの程度友達がいたかについては、ここからは分かりません。

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このブログは、高校生よりも、もう少し下の年齢層の友達がいない子が話題の中心です。ただ、高校時代に友達がいなかった人は、保育園~中学時代はどうだったのだろうかと私などは考えてしまいます。高校時代に友達がいなかったからといって、保育園~中学時代にもいなかったかというと、必ずしもそうとは限りません。ですが、保育園~中学時代にもそうだったかもしれませんし、何らかの芽があった可能性もあります。

石崎朝世『友達ができにくい子どもたち』すずき出版、1996年では、(保育園で)友達ができにくい子を7つのタイプに分けています。(1)「ひとり遊びが好き」タイプ(2)「ひっこみ思案」タイプ(3)「ちょっとわがまま、ちょっと乱暴」タイプ(4)「落ち着きがない=多動」タイプ(5)「動きがゆっくり=寡動」タイプ(6)「発達に遅れがある」タイプ(7)「自閉症、アスペルガー症候群」タイプ。

このうち(1)と(2)のタイプは保育園の頃に友達がいなくても大丈夫とのことで、(3)~(5)についても、症状が著しい場合でない限り、適切な対応は必要ないとのことです(24-38ページ)。すると、(6)(7)タイプと、(3)~(5)タイプの一部の子たちは、保育園の頃に友達がいないと、適切な対応がとられない場合、高校時代あたりに入っても依然として友達がいない恐れがあると見ていいのでしょうか(大雑把ですが)。

この(3)~(7)タイプは、発達障害の可能性が考えられます。実は、ニートの若者には発達障害の診断を受けた者や、その疑いがある者の割合が少なくないという報告が、ニート支援機関「地域若者サポートステーション」等からあがっています。

あと、これは私見ですが、上述書『友達ができなくい子どもたち』で今は友達がいなくても大丈夫とされた(2)「ひっこみ思案」タイプについても、もしこうした子が幼児期の不安障害にかかっている場合、それが青年期にも続く可能性があるというのが最近の研究で明らかになっていたものと私は理解しています(姉妹ブログ・ニートひきこもりJournal大人の不安障害、うつの大部分は、子供の頃に根が」参照)。「ひっこみ思案」タイプについても、放置しておくと青年期まで続き、高校時代あたりでもなお友達がいないということにならないとも限らないのではないかと私などは思います。