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2009年2月11日水曜日

親の育て方が悪いのか

何か子どもに問題があると、「親の育て方が悪いのだ」と考える人は少なくないものと思います。友達がいない子についても、親の育て方に原因があるのでしょうか。

アメリカ・メリーランド大学に、引っ込み思案児について数多くの研究成果を発表している研究所があるのですが、その名も「子どもと家族関係研究所」(Laboratory for the Study of Child and Family Relationships)ときています。やはり、引っ込み思案は、子どもと家族との関係が原因なのでしょうか。

しかし、この研究所が発行する論文を読むと、必ずしもそうとも言えないことが分かります。親の養育態度に原因を求める研究も確かにあるのですが、その一方で、近年、こうした子には生物学的・生理学的な基盤があるのではないかという研究も出てきています(Rubin ら, 2007)。

このほか、『友達ができにくい子どもたち』という本では、友達ができにくい子の一つのタイプに「自閉症、アスペルガー症候群」が挙げられていますが、これこそ先天的なもので、親の育て方に原因を求めるのは的外れです。

友達がいないなど、何か子どもに問題があっても、私は安易に親の育て方が悪いとは考えないようにしています。私は発達心理学を体系的に学習したことがないばかりか、子育ての経験すらありません。

あと、犯人探しも、ほどほどに。もし本当に親の育て方に原因があるのだとしたら、それを修正するという支援方法も考えられますが、それにしても誰が悪いとか、そうしたことをあまり考えるのは、誰のためにもなりはしないでしょう。むしろ考えるべきは、今子どものために何ができるか、です。

[文献]

◇ Rubin, K.H. & Coplan, R.J. (2007). Paying attention to and not neglecting social withdrawal and social isolation. In G. Ladd (Ed.) Appraising the Human Developmental Sciences: Essays in Honor of Merrill-Palmer Quarterly. Detroit: Wayne State University Press.

◇ 石崎朝世、一松麻実子、前田美紀、湯汲英史、林祐一(1996)『友達ができにくい子どもたち-社会性の発達と援助法』鈴木出版。